航空機構造

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航空機構造解析の基本

作成:滝 敏美
2009年8月29日
改訂:2009年10月4日
改訂:2010年2月28日
改訂:2010年9月20日
改訂:2011年1月2日

紹介

航空機構造解析の教科書として,「航空機構造解析の基本」をpdfファイルの形で提供します. このページからファイルをダウンロードできます.
追って,例題のExcelファイルも公開します.

さらに内容を充実していきたいと考えていますので,みなさんのコメントをお待ちしています.
メールのあて先は滝 敏美です.

以下は「はじめに」の紹介です.

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航空機構造の特徴はセミモノコック構造(Semi-monocoque Structure)と呼ばれる骨組みに板を張った構造が主体である.この構造様式を解析するには材料力学の知識だけでは不十分で,薄板構造力学の知識が必要である.その他にも航空機特有の構造様式と解析方法があり,航空機構造解析技術者は航空機構造の強度解析技術を体系的に学ぶことが必須である.しかし,大学の機械系学科の講義では材料力学までしか学ばないので,航空機構造解析技術 者になるにはさらに勉強が必要であるが,実務にすぐ役立つ日本語の教科書は少ない. 航空機開発は国際的になっており,航空機構造解析者は英語の強度計算マニュアルを使わなければならないし,強度計算書を英語で書かなければならない機会が多くなってきている.航空機構造解析の教科書や文献は英語のものがほとんどであり,英語の専門用語を知っていないと歯が立たない.

このような背景を考慮して,本書は,材料力学までしか学んでいない技術者を対象として航空機構造解析の基本を解説することを目的としている.

  • 航空機構造解析技術者として必須の構造力学の知識を習得する.
  • 構造力学の基本概念を知ることにより応用がきくようにする.
  • 航空機製造会社にはそれぞれ独自の強度計算マニュアルが整備されており,強度計算方法が標準化されているが,強度計算マニュアルを無理解のまま使うのではなく,理論的背景を理解して使うことができるようにしたい.
  • 航空機構造の専門用語(英語)の知識を習得する.
    本書で扱う内容は以下のとおりである.本書を理解すれば,航空機構造解析技術者として実務をこなせるレベルに達するものと確信している.

  • 材料力学,薄板構造力学,変分原理,静強度解析,疲労解析,強度計算書の構成,有限要素法の使い方の基礎

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    「航空機構造解析の基本」 目次

    1 はじめに
    1.1 必要な基礎知識
    2 構造解析の手順
    3 航空機構造解析の基礎知識
    3.1 どう単純化するか
    3.2 構造要素
    3.2.1 1次元部材
    3.2.2 2次元部材
    3.2.3 3次元部材
    3.2.4 継手
    3.3 境界条件
    3.3.1 支持条件
    3.3.2 外部荷重
    3.3.3 強制変位
    3.4 内部荷重
    3.5 力の釣り合いとフリーボディ・ダイヤグラム
    3.5.1 フリーボディ・ダイヤグラムの描き方
    3.6 応力と歪
    3.6.1 応力
    3.6.2 歪
    3.6.3 フックの法則
    3.6.4 歪ゲージによる歪の計測とデータ整理
    3.7 エネルギ原理
    3.7.1 歪エネルギとコンプリメンタリ・エネルギ
    3.7.2 エネルギ原理の利用方法
    3.7.3 補足:MS-Excel による最小化の方法
    4 内部荷重の解析
    4.1 剛体要素の釣り合いとフリーボディ・ダイヤグラムの例
    4.1.1 脚構造のトルク・リンク
    4.1.2 アイドラー・リンク
    4.1.3 エンジン取り付け点の反力
    4.1.4 舵面構造
    4.2 トラス構造の解析
    4.2.1 静定2次元トラスの解析
    4.2.2 不静定2次元トラスの解析
    4.2.3 3次元トラスの解析
    4.3 梁理論
    4.3.1 梁の内部荷重
    4.3.2 梁の方程式
    4.3.3 梁の断面の応力
    4.3.4 静定梁の解析
    4.3.5 不静定梁の解析
    4.3.6 曲がり梁の解析
    4.3.7 せん断応力の分布
    4.4 薄肉断面のねじり
    4.4.1 薄肉閉断面のねじり
    4.4.2 薄肉開断面のねじり
    4.4.3 ディファレンシャル・ベンディング
    4.5 箱桁構造
    4.5.1 1本桁構造の曲げねじり
    4.5.2 対称2本桁構造の曲げねじり
    4.5.3 非対称2本桁構造の曲げねじり
    4.5.4 胴体フレームの荷重
    4.5.5 梁理論と純ねじり理論の限界
    4.6 薄板構造の解析法 -- せん断場理論
    4.6.1 せん断場理論とは
    4.6.2 集中荷重が入る壁構造
    4.6.3 台形のせん断パネル
    4.6.4 せん断梁
    4.6.5 切り欠きのある2本桁構造のねじり
    4.6.6 切り欠きのある2本桁構造の曲げねじり
    4.6.7 せん断場理論のまとめ
    4.7 重要な構造要素の内部荷重
    4.7.1 キックフォース
    4.7.2 バランス・アーム
    4.7.3 せん断クリップ
    4.7.4 インターコスタル
    4.7.5 内圧が負荷される円筒
    4.7.6 胴体ストリンガが受け持つ与圧荷重
    4.7.7 平板耐圧隔壁
    4.8 ファスナ継手の解析
    4.8.1 せん断荷重の伝達
    4.8.2 軸力の伝達
    4.8.3 ファスナグループ
    4.9 内部荷重の非線形性の考慮
    5 有限要素法の使い方
    5.1 有限要素法とは
    5.2 NASTRAN の主な要素
    5.2.1 座標系
    5.2.2 自由度
    5.2.3 要素の種類
    5.3 モデルの作成
    5.3.1 モデル化の手順
    5.4 有限要素解析の注意事項
    5.5 有限要素解析結果のチェック方法
    5.5.1 解析が流れるようになるまで
    5.5.2 解析結果のチェック・リスト
    5.6 航空機構造の FEM モデル化の方法
    5.7 FEM 解析結果の使い方
    5.7.1 要素力と節点力
    5.7.2 せん断場理論との比較
    6 静強度の判定
    6.1 設計基準
    6.1.1 制限荷重
    6.1.2 安全率と終極荷重
    6.1.3 特別係数
    6.1.4 クライテリア荷重
    6.1.5 座屈に関する強度基準
    6.2 強度計算の流れ
    6.3 安全余裕
    6.4 材料強度
    6.4.1 アルミ合金の種類
    6.4.2 設計許容値
    6.4.3 材料のデータシートの例
    6.4.4 応力-歪曲線の例
    6.5 破壊の形態
    6.5.1 軸力部材の引張破壊
    6.5.2 軸力部材の圧縮破壊
    6.5.3 梁の破壊
    6.5.4 ビームカラム
    6.5.5 板の座屈
    6.5.6 せん断梁の破壊
    6.5.7 圧縮荷重を受ける補強パネル
    6.5.8 継手強度
    6.6 強度判定の注意事項
    7 疲労強度
    7.1 疲労破壊
    7.2 疲労破壊の例
    7.3 材料の疲労強度
    7.3.1 材料の疲労データ
    7.3.2 マイナー側
    7.3.3 レイン・フロー・カウンティング
    7.4 構造の疲労強度
    7.4.1 構造の応力集中
    7.4.2 ファスナ継手の応力集中係数
    7.4.3 疲労寿命の安全率
    7.4.4 構造の疲労寿命の計算例
    8 強度計算書
    8.1 強度計算書の使われ方
    8.2 強度計算書の構成と内容
    9 補足
    9.1 単位の換算
    9.2 座標変換式
    9.3 Bruhn の教科書の目次と索引
    9.4 蛇足
    10 参考文献
    10.1 教科書
    10.2 文献
    あとがき
    完成時のあとがき
    改訂履歴



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